読了目安:約3分(1638文字)
筆者は、ほぼ毎日チャット式AIを壁打ちのパートナーとして使っています。
ChatGPTであったり、Geminiであったり、その時々でツールは変わりますが、彼らが便利な存在であることは間違いありません。
しかし、ある時から拭いきれない違和感が生じるようになりました。
「同じAIでも、チャットスペースによって“出来”が違う気がする」 と
この記事は、その違和感の正体を探るメモです。
あわせて、対話が崩れそうになったときに筆者が引いている「境界線」についても置いておきます。
「今日のAIは、昨日と同じではない」という構造
なぜ、日によって、あるいはスレッドによってAIの賢さにムラがあると感じるのか。
それは、チャット式AIが「常に固定された中身」で動いているわけではないからです。
モデル自体が頻繁に更新されるのはもちろん、同じサービス内でも、会話の複雑さに応じて「どのモデル(モード)に処理させるか」をルーターが自動的に判断する仕組みが取り入れられています。
OpenAI側も「モデルは変わるものである」という前提でアナウンスを出していますし、Geminiもデフォルトモデルの更新やモード選択が日常的に行われています。
つまり、体感として「今日は当たり」「今日はハズレ」が起きるのは、気のせいではありません。
AIという道具は、常に一定の出力が保証された精密機械ではなく、状況に応じて中身が入れ替わる「流動的な環境」である。そう理解しておく必要があります。
AIは責任を取れない。だから人間が「境界線」を引く
道具の側が不安定であるならば、使い手側が「安定させるための設計」を持つしかありません。AIは、どれほど賢く振る舞っても、最終的な対話の質に対して責任を取ることはできないからです。
壁打ちという作業が迷走し、形を成さなくなる前に、筆者は以下の4つの「境界線」を引くようにしています。
1. 主導権の境界線
壁打ちの主導権は、常に人間側が握ります。
AIが良かれと思って「では、次にこれについて考えましょうか?」と運転席に座り始めたら、その瞬間に制止します。
「質問はしないで、まずは短く返して」と伝え、主導権をこちら側に引き戻すのです。
以前はスルーして勝手に話を戻していましたが、話の噛み合わなさがストレスになっていたため、これによってストレスが減りました。
2. 情報量の境界線
一回の返答の長さをコントロールします。
AIから読み切れないほどの長文が返ってきたとき、それを「読めない自分の問題」にしてはいけません。
「3行に圧縮して」と切り、自分の処理能力や現在の状況(歩行中など)に合わせて、受け取る形式をこちらで指定します。
3. 目的の境界線
いま欲しいのは「確認」なのか「整理」なのか、あるいは「文章化」なのか。
その目的を、一語で固定します。対話が深まるうちに目的がズレてきたと感じたら、「いまは確認だけ。広げないで」と言い直し、境界線をもう一度引き直します。
4. リセットの境界線
AIがこちらの意図を汲み取れなくなったとき、感情で殴っても解決しません。
「なぜわからないんだ」と憤るのではなく、手順として「切る」ことが重要です。 相手はただの高性能演算器です。憤るのは不毛です。
「脱線した。最初の質問に戻る。次は一行で」 と伝えます。それでも修正されないなら、迷わずチャットスペースを閉じて作り直します。
AIに責任が取れない以上、こちらが「安全装置」を作動させるしかありません。
「賢さ」に依存せず、「安定」を自ら作る
AIの進化は凄まじく、この記事に書いた手法もいずれは古くなるかもしれません。
しかし、現時点の壁打ちにおいて確かなことは、「相手がいかに賢いか」以上に、「こちらがいかに線を引けるか」が安定性を左右するということです。
AIという海に飲み込まれる前に、自分と道具の間に明確な境界線を設計すること。 あなたの壁打ちは、いま、どの境界線が一番ゆるんでいますか。
AI自滅事件の全貌 ―― 「情報の海」で溺れないための構造的思考 昨今、AIが人間の仕事を奪うという議論がやかましい。特にコーディングの領域では、AIはもはや人間を超えた…
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