読了目安:約5分(2440文字)
会話をしていて、こちらは普通に話しているつもりなのに、相手が急に黙ったり、反応が薄くなったりするケースの話をします。
「え、今のって、何の話ですか?」
そう聞かれて初めて、自分の話が飛んでいたことに気づくこともあります。
この手の噛み合わなさは、相手の理解力や、こちらの説明力の問題というより、もっと単純なところで起きていることが多いです。
原因は、「前提」が抜けていることです。
前提が抜けると、相手の思考が止まる
自分の頭の中では、話はつながっています。
さっきまでの流れも、昨日のやり取りも、全部ひとつの線になっています。でも相手の頭の中には、その線がありません。
こちらが前提を置かずに話し始めると、相手は「どの話のフォルダを開けばいいか」が分からなくなります。
内容が難しいから止まっているのではなく、入口が見つからなくて止まっている。
だからポカンとしたり、聞き返せなかったりします。
立場が違うと、事故が増える
ここで厄介なのが、関係性によって反応が変わることです。
友達同士なら、「何の話?」とすぐ聞けます。立場が対等だと、会話は止めやすいからです。
でも、仕事の場面ではそうならないことがあります。
相手が「聞き返しづらい空気」を感じていると、分からなくても止められません。
結果として、ポカンとしたまま進んでしまい、ミスやズレにつながります。もし第三者が側で見ていたら、それはまるで「コント」を見せられている状況です。
仕事の場面では、ズレがそのまま事故になる
たとえば動画編集の仕事で、こういうケースがあったとしましょう。
料理系の動画と、別ジャンルの動画を並行で進めているとき。
クライアントから、 「このテロップ入れといてください」 とだけ連絡が来たとします。
受け取る側としては、どちらの動画の話か分かりません。
丁寧な人ほど、ここで確認を取ります。
「どちらの動画の件でしょうか?」
この確認が入った時点で、作業は一度止まります。
これが一つ目のストロークです。
そこで相手から、 「今の流れなら、料理の方に決まってるでしょ」 なんて返信が来たら。
「えー?」となりますよね。
こちらはサボっているわけでも、理解力が低いわけでもありません。
ただ、相手の頭の中にある「前提」が見えていないだけです。
本来なら最初に、 「料理動画の件なんですが、このテロップを〜」 とタグがついているだけで、この確認作業も、その後のモヤモヤも発生しませんでした。
噛み合わない会話は、性格の不一致ではなく、単に「タグがないから検索できない」という構造のエラーです。
逆のケースを考えれば、依頼する側のときは、前提(タグ)を相手につけることが大事ということです。
理屈が分かっても、直らないのが普通
ここまでの話は、読めば誰でも理解で切ると思います。
でも、理解できたからといって、すぐにできるようになるわけではありません。
なぜなら、コミュニケーションは、知識より習慣だからです。
注意力や気合いで直せるなら、世の中から噛み合わない会話は消えています。
理屈は分かるのに直らない人が多いのは、それが悪いのではなく、癖として体に染みているからです。
前提を置けない人は、訓練が必要
もし自分が、何度も同じことを言われているなら。
「話が分からない」「前提が抜けてる」と言われる回数が多いなら、それは努力不足ではなく、習慣の設計不足です。
このタイプは、注意力や根性より訓練が必要です。
しかし、自分ひとりで直そうとすると、ほぼ失敗します。なぜなら、癖は無意識で出るからです。
現実的にやるなら、環境に組み込みます。
たとえば身近な人に一言伝えておく。
「自分、前提を置かずに話し始める癖があるので、分からなかったら“どの件?”って止めてください」
これを先に渡しておくだけで、相手は止めやすくなります。
止めてもらえる回数が増えると、そこで初めて自分の癖が見えるようになります。
協力してもらうのは甘えではなく、練習の仕組みです。
もし協力してくれる人がいないなら、会話トレーニングや話し方講座に行くのも選択肢のひとつですね。
コミュニケーションはスキルなので、磨く場所に行けば伸びます。
助ける側の人へ、これは優しさの話
もう一つ、逆側の話もあります。
身近に「いい人なんだけど、いつも前提が抜ける人」がいる場合です。
その人に対して、
「また始まった」
と黙って受け止めてしまうと、ズレは直りません。
優しさとしてできるのは、会話を止めてあげることです。
「どの件の話?」
それを言ってあげるだけで、相手は修正できます。
この一言は、相手を否定するためではなく、会話を成立させるための補助です。
ただし、それで毎回ムクれたり、直す気がない態度が続くなら、そこまで背負わなくて大丈夫です。
直すかどうかは相手側の問題で、こちらが全部引き受ける話ではありません。
日常の「タグ付け」が練習になる
このズレは、仕事だけの話ではありません。
友達とのLINEでも起きます。
いきなり、
「あの時の親父さ、どういうつもりだったんだろうね」
と言われたら、「どの親父?」になります。
最初に、
「この前の旅行の時の話なんだけどさ」
と置くだけで、噛み合い方は変わります。
こういう小さな前提の置き方は、日常会話で練習しておくと、仕事にも持ち込めます。
筆者の印象では、文章を書く習慣がある人は、普段から前提を置いて本題に入る癖がついていることが多い気がします。
そのため、会話でも自然に「どの件の話か」を置ける人が多い印象があります。
逆に、短文のやり取りが中心の環境だと、反射的に返す場面が増えて、前提が省略されやすくなることもあるのかもしれません。
話が噛み合わないとき、技術の問題に見えて、実は入口の問題です。
前提を長く語る必要はありません。相手が探せるタグを一つ置く。
それだけで、余計なストロークが減ります。
最近、会話が噛み合わないことが増えたと感じたら。
自分の話の入口に、前提が置けているかだけ、少し観察してみてもいいかもしれません。
AI (as I Engine)に記事を選んでもらう
自分で記事をさがす
シーン/おすすめ記事/キーワード から探せます
このサイトで問題が解決しない時
当サイトの記事は順次追加していますが、まだカバーできていないお悩みのようです。
問題を解決できるのは、最終的にはあなた自身ですが、そのためのヒントや視点なら、このサイトで言葉にできるかもしれません。
いま困っていることがあれば、ぜひ教えてください。
あなたの悩みが、同じことで迷っている誰かの助けにもなるかもしれません。
どのような情報が必要か教えてください。今後の記事作成の参考にさせていただきます。
編集部へ相談を送る
いただいたご相談の扱いについて
(3つのポリシー)
1. 記事での回答が基本です
個別のメール返信(コンサルティング)は行いません。
多くの読者にも役立つ普遍的なテーマとして再構成し、記事の更新をもって回答とさせていただきます。
2. プライバシーは厳守します
記事にする際は、個人や所属組織が特定されないよう、内容を抽象化・加工します。
(例:具体的な社名は伏せる、業界の一般論に置き換えるなど)
3. 採用は編集部に一任されます
すべての相談にお答えすることを約束するものではありません。
「これは多くの人に役立つ」と判断した場合に、記事化させていただきます。
※より深い背景情報が必要な場合のみ、こちらから詳細をお伺いするメールをお送りすることがあります。
メールアドレスに関するお約束
安心して情報を登録していただくため、以下の行為は一切行わないことを固くお約束します。
- 第三者への情報の譲渡・販売・貸与
- 商品やサービスの売り込み、営業メールの送信
- 本サイトの更新通知とは無関係な広告配信
※ ただし、直接希望の方への窓口(料金案内ページへのリンク)は署名欄に記載しています。
ご相談の送り方
当サイトには、個別の問い合わせフォームはありません。以下の手順で受け付けています。
そのメールに返信する形で、ご相談内容をお送りください。
この下の「更新通知」にアドレスを登録してください。
登録完了のメールが届きます。
※届かない場合は迷惑メールフォルダをご確認ください
このサイトについて
このサイトでは、問題が解決しない原因を「努力不足」ではなく、思考の癖や構造にあるのではないか、という仮説をもとに書かれています。
内容には筆者自身の体験も含まれますが、そこから何を受け取り、どう使うかは、すべて読む側に委ねています。
こんな人に向いています
「自分で考え、実践し、知識を『血肉』にしたい人」 正解をただ待つのではなく、ヒントを元に「自分で考え、試行錯誤できる方」にとっては、多くの気づきが得られるはずです。
こんな人には向きません
「ショートカット(手っ取り早い成功)だけを求めている人」 思考を省略するための「魔法の杖」はこのサイトにはありません。 結果を出すまでの「プロセスごと学びたい」という意欲のある方だけ、お付き合いください。
>> 運営者情報とサイトの役割<<