交渉力の正体は説得力ではない構造の話

読了目安:約3分(1202文字)

「交渉力がないから営業が苦手なんです」と感じている人は多いと思います。
ただ、その交渉力を「相手を説得する力」だと捉えてしまうと、営業は一気に苦しくなります。

ここで整理したいのは、交渉力の正体です。
交渉力は、相手を動かす力ではありません。

交渉力は、条件を揃えて成立させる力です。

相手が欲しくもないものを、言葉で押し切って買ってもらう。
これは交渉でも説得でもありません。 後から「思っていたのと違う」とズレが回収されてしまいます。
場合によっては「詐欺っぽい」と受け取られるリスクさえあります。

だからこそ、交渉力を磨くなら、説得ではなく合意形成として磨いた方が安全です。

交渉で揃えるべき3つの要素

交渉で揃えるべきものは、大きく3つです。

  • 目的
  • 優先順位
  • 条件

この3つが揃うと、話はかなりスムーズになります。

目的は、何のためにそれをやるのかです。

優先順位は、何を優先して何を捨てるのかです。

条件は、予算や納期や範囲や品質や役割分担です。

交渉が難しくなるのは、多くの場合このどれかが曖昧なまま進んでいるからです。
だから交渉力というのは、強い言葉で押し切る力ではなく、曖昧さを消していく力だと言えます。

交渉とは「選択肢」を作ること

交渉が上手い人は「値引きが上手い人」ではありません。
交渉が上手い人は「選択肢を作れる人」です。

例えば「欲しいけど価格が少し高い」と言われたとします。
このときに説得で押し切ると、契約できても後が不安定になります。

その代わりに、条件を動かして成立させる方が健全です。

  • やる範囲を減らす
  • 納期を伸ばす
  • 品質の基準を揃える
  • 別プランに落とす
  • 支払い条件を変える

こうした調整ができると、相手は無理なく判断できます。
結果として「自分で決めた」という感覚が残りやすくなります。

上司との交渉も「構造」で動く

ここで大事なのは、交渉の相手はお客さんだけではないという点です。
上司との交渉も、まったく同じ構造で動きます。

例えば「この価格で決めたいのですが、利益が薄くなります」と上司に相談する場面です。
このとき「お願いします」と頼むだけだと、上司は判断できません。
上司が判断できるように、条件を解像度高く揃えて提示してあげる必要があります。

  • なぜ今この価格で取りたいのか この案件が実績になるのか
  • 次の成約につながる見込みがあるのか
  • 失うものは何か
  • 得るものは何か
  • この条件なら成立するというラインはどこか

これを揃えて話せると、上司も選択肢を持てます。

「それなら今回はこの条件で行こう」と判断しやすくなります。

これも立派な交渉力です。

相手に選択肢を渡して、成立条件を揃えているからです。

交渉力は説得でも言い負かすことでもない

交渉力がある人は、相手を説得する人でも言い負かす人ではありません。

相手が判断できる材料を整えて、ズレが起きない形に設計できる人です。

交渉力とは、相手を説得することではありません。
大事なことなので、何度も言いました。

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