営業成績を才能と捉えず構造として考える

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「選ぶ効率」よりも「迷わない回数」が景色を変える

営業や集客という言葉を聞くだけで、身体が少し強張る感覚を持つ人は少なくありません。
声をかける前から疲弊してしまったり、断られることを想像して足が止まってしまったり。

そうした停滞の中にいると、どうしても「自分には営業の才能がないのではないか」という個人の資質に原因を求めたくなります。

しかし、営業の成否を分けるのは、属人的なセンスややる気の強さだけではありません。
むしろ、個人の感情に左右されない「行動が積み上がる構造」をいかに設計できているか。

その違いが、結果として現れることがあります。

予測という「不確かなフィルター」

あるガソリンスタンドでの出来事です。
そこでは、給油の際にお客さんへ「水抜き剤」などのメンテナンス商品を提案する、
いわゆる営業活動が行われていました。

興味深いのは、経験豊富なベテランスタッフと、入ったばかりの未経験者で、そのアプローチが対照的だったことです。

ベテランのスタッフは、長年の経験から「買ってくれそうなお客さん」を瞬時に見極めていました。

車の状態や相手の反応を見て、タイミングを測り、無駄打ちをしない。
一見すると非常に効率的で、洗練された営業スタイルです。

一方で、未経験のスタッフが取った行動は、予測を一切手放すことでした。
「買いそうかどうか」を判断する物差しを持っていないため、来店するほぼすべてのお客さんに、同じように声をかけ続けたのです。

結果として、目標を大きく上回る数字を出したのは、効率を求めたベテランではなく、全数に声をかけ続けた未経験者の側でした。

「当たりを探す力」よりも強いもの

なぜ、熟練のスキルを持たない者が、ベテランを超える結果を出せたのでしょうか。

答えは単純です。
営業とは「当たりを探し当てる力」よりも、「回数が積み上がる仕組み」の方が機能しやすい性質を持っているからです。

「この人は買いそうだ」「この人は断りそうだ」という予測は、どれほど経験を積んでも、結局は不確かな推測に過ぎません。
買いそうに見える人が断ることもあれば、その逆も頻繁に起こります。

最初から相手を選別してしまうと、予測を外した瞬間に試行回数が途絶え、結果はゼロになります。

しかし、最初から「断られること」を前提に組み込み、迷わず声をかけられる形を作っておけば、当たり外れに一喜一憂することなく、全体としての数字は安定します。

「断られても減るものはない」という割り切りは、精神的な強さというよりは、一つの「動作設計」です。
断られることを失敗と定義せず、単なるプロセスの通過点として置く。
この前提の置き方こそが、行動の総量を支える土台となります。

数と境界線のあいだで

ただし、この「回数の設計」にも、注意すべき点があります。

ある時、この未経験のスタッフは勢い余って、リース利用している会社の営業車のお客さんにまで商品を販売してしまいました。
本来、リース会社がメンテナンスを行う車ですから、その場での購入は不要だったはずです。

この失敗は、営業が単なる「数」の論理だけで完結してはいけないことを教えてくれます。
どこまでも数を打てばいいというわけではなく、相手にとっての必要性を見極める「境界線」は、どこかに必要です。

しかし、その境界線を意識するあまり、最初の一歩が重くなってしまっては本末転倒です。
まずは「動ける構造」を作り、その上で、現場の歪みに合わせて微調整していく。
その順番が重要なのかもしれません。

あなたの現場にある「設計図」

営業や集客を「才能」だと思い込んでいるうちは、動けない自分を責めることで時間が過ぎてしまいます。
けれど、もしそれが「設計」の問題だとしたら、視点は自ずと変わるはずです。

今のあなたの営業スタイルは、「当たりそうな人を探す形」になっているでしょうか。
それとも、「断られても淡々と積み上がる形」になっているでしょうか。

一度立ち止まって、自分の現場にある「設計図」を眺めてみる。
才能の有無を問うのは、そのあとでも遅くはありません。


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