「場当たり」「お任せ」は現場を疲弊させる構造

読了目安:約3分(1343文字)

「場当たり」は、オペレーションの真逆にある構造です。

ここで言うオペレーションとは、業務を円滑に進めるための手順やルールのこと。特別な理論ではありません。仕事を進めるための手順や目的を、あらかじめ共有しておく、というだけの話です。

その反対にあるのが、いわゆる「場当たり」です。

「場当たり」は思考停止の典型

「場当たり」とは、ことが起きてから、その都度判断し、その都度やり取りし、その都度調整する「準備なし」のやり方を指します。一見すると柔軟で、状況に合わせて頭を使っているようにも見えますが、実際には多くの無駄と疲労を生んでいます。

なぜなら、場当たりの仕事は、毎回「どうしようか」という意思決定が必要になるからです。優先順位は頻繁に入れ替わり、割り込みが増え、調整が多発する。本人も疲れますが、何より関わる相手を疲弊させます。

オペレーションは、その逆です。考えなくていい部分を、あらかじめ構造として決めておく。そうすることで、人は本当に考えるべきところにエネルギーを使えるようになります。

ここで重要なのは、ルールで縛ること自体ではありません。「なぜそのルールがあるのか」という目的を共有することです。

「いい感じに」「お任せ」が奪うもの

例えば、資料作成やタスクを依頼する場面を想像してみます。

「いい感じにやっておいて」「詳細は任せるよ」

これらは一見、相手を信頼し、裁量を与えている心地よい言葉に聞こえます。

しかし、受け取る側の構造はどうでしょうか。明確な目的やゴールという「地図」がないまま、「正解」というゴールを持っている依頼者の顔色を伺いながら、手探りで進むことになります。

本来なら「成果物のクオリティ」に向けるべきエネルギーが、「依頼者の意図を読み解く」という余計なコストに割かれてしまう。そして、いざ提出したときに「なんか違うんだよね」と一蹴される。これは、受ける側の能力の問題ではなく、最初に「目的・ターゲット・NG事項」という定義をサボった、依頼側の設計ミスです。

「お任せ」という言葉で、自分の「決めるコスト」を相手に無償で肩代わりさせていないか。場当たりな依頼は、結果として、相手に丸投げする無責任な構造として機能してしまいます。

構造は、関わる人への「ギフト」である

個人の能力や善意に頼る現場は、脆いものです。どれほど優秀な人が集まっても、共通のフロー(構造)がなければ、判断の質はバラつき、摩擦が生まれます。

考え方があり、その考え方が構造として共有され、誰が関わっても同じ前提で動ける状態を作る。それがオペレーションです。

場当たりは、自由に見えて、実は不親切です。オペレーションは、決まりごとが多く見えて、実は優しい。相手の時間を奪わず、相手に余計な判断をさせず、仕事を前に進めるための土台になります。

考えることをやめるためではありません。考えるべきことに集中するための構造です。

場当たりのほうが楽だと感じる瞬間もあるかもしれません。けれど、円滑に仕事を進めるという視点に立ったとき、その選択が誰かのエネルギーを意図せず奪っていないか。

少しだけ立ち止まって、自分の周りに「余白」を作るためのルールを置いてみる。それは、自分と、共に働く相手への、ささやかな優しさになるはずです。

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