色が決められない人へ|センスではなく『判断の順番』で選ぶ方法

読了目安:約6分(3120文字)

【この記事の視点】色が決められないのは、センスがないからではありません。変数が多すぎて判断の順番が設計されていない——それが「決められない」の正体です。正解の色を探すのではなく、先に判断基準の優先順位を決める。その構造を提案する記事です。

色が決められないとき、まず苦しくなるのは「色そのもの」よりも「決め方がわからない状態」になっている人が多いなと感じています。

  • チラシを作るとき
  • SNSでの画像投稿を整えるとき
  • ホームページの色を決めるとき
    など。

悩むのも無理もありません。
色って、ただの飾りではなく、見た人の印象を一瞬で決めてしまうからです。

「変に見えないかな」
「安っぽく見えないかな」
「信頼される雰囲気になるかな」

こういう不安が出てくると、色選びはセンスの話ではなく、判断の話に変わっていきます。
そして判断の話になった瞬間、決めあぐねてしまう。

そんな時、判断基準というのを色を決定する時の構造に組み込んでおくと良いです。

迷うのは変数が多すぎるから

そもそも色は、思っている以上に種類があります。
アンミカさんが「白だけでも200種類ある」と話していたのを聞いたことがあります。

これは大げさな自慢話というより、感覚としてはかなり本質を突いています。
同じ白、同じピンクに見えても、実際には別物がたくさんあるんですよね。

さらに厄介なのは、色は安定して見えないことです。

スマホで見た色と、パソコンで見た色が違うことがあります。
画面の設定や端末の種類で、発色は変わります。
印刷すると、また別の色になります。
紙の質感やインクの乗り方で、同じ色でも印象が変わってしまいます。

この時点で、色が決められないのは自然です。
あなたが優柔不断なのではなく、変数が多すぎるんです。

「正解」ではなく「判断の順番」を作る

ここで大事なのは、色を「当てにいく」ことをやめることです。
この色が正解、という探し方をすると終わりがなくなります。
代わりに、先に「判断の順番」を作るほうが現実的です。

色を決めるときの判断基準は、実はいろいろあります。

そして厄介なのは、判断基準を全部いっぺんに満たそうとすると、ほぼ確実に止まることです。
だから最初にやることは、全部をクリアしようとすることではなくて、優先順位を決めることです。

迷いのポイントになる「6つの基準」

ここでは、判断基準の例を6つだけ置いておきます。

これは「この6個がすべてです」という話ではありません。
ただ、よく迷いが生まれるポイントとしては、このあたりが多いです。

一つ目は、目的です。
相手にどう感じてほしいか。 安心なのか、清潔感なのか、元気なのか、信頼なのか。 ここが定まると色は選びやすくなります。

二つ目は、業種の空気です。
医療や士業、飲食、美容など、世の中には「見慣れた印象」があります。 そこから大きく外しすぎないだけでも、迷いは減ります。 これは正解ではなく、迷いを減らすためのガードレールに近いです。

三つ目は、自分の立ち位置です。
やさしく見せたいのか、強く見せたいのか、落ち着かせたいのか。 同じ業種でも、ここで方向は変わります。

四つ目は、使う場所です。
画面中心なのか、紙中心なのか。 スマホで読ませたいのか、手渡しするのか。 用途が違えば、色の扱い方も変わります。

五つ目は、ズレを減らす考え方です。
色は頭の中で思っているものと、実際の見え方がズレます。 だから、言葉だけで「ピンク」や「青」と決め切らずに、候補を見比べて「これに近い」を自分の中で確定させる。 この発想があるだけで、色が動き出すことがあります。

六つ目は、制約です。
モノクロに寄せる。 使う色は2色まで。 彩度は上げない。 こういう縛りを先に決めると、選択肢が減って決めやすくなります。

まずは、3つだけ決める

ここまで読んで、こう思ったかもしれません。
判断基準が増えたぶん、逆に余計に迷う、と。それも自然です。

なので、優先順位を決めます。この6つを全部守ろうとしないこと。
まずは3つだけ決める。
その3つだけ守って、一度決めてみる。

余裕があったら4つ目に進む。 さらに余裕があれば5つ目。

そうやって段階を分けると、色は決まりやすくなります。

ただ、3つすら決められない人もいます。 そういうときは、逆からやっても大丈夫です。

優先するものを選べないなら、優先しないものを消す。

今回はどうでもいいや、と思えるものを2つ消す。 残った4つから、ようやく3つに絞る。 このほうが負担が少ないことがあります。

知識よりも「決めやすい状態」を作る

色が決まらない人ほど、色の知識ではなく、この順番づくりが効きます。
決める力を鍛えるというより、決めやすい状態を作る。 そのほうが現実的です。

ちなみに、業種ごとに「伝わりやすい印象」の傾向は確かにあります。

  • 医療なら緑や青に寄りやすい。
  • 安売りなら赤や黄色が多い。
  • 飲食なら赤や黄色が強い店も多い。

ただ、これは正解ではなく、見慣れた印象の話です。

こうした傾向をすべて覚える必要はありません。
迷ったときに確認できるよう、一般的な傾向をまとめたリスト(PDF)を用意しました。

これは正解ではなく、よく見かける傾向のまとめです

さらに、色の組み合わせの話をすると、先は深くなります。
2色にするのか、3色にするのか。
モノクロに寄せるのか、グラデーションにするのか。

これは別の記事で紹介する予定です。

もし今、色が決められない状態だとしたら。
あなたがまず優先したい基準を3つだけ選ぶとしたら、何が残りそうでしょうか。

FAQ(よくある質問)

色のセンスがまったくないのですが、それでも自分で選べるようになりますか?

なれます。色選びが止まる原因の多くは、センスではなく「何を基準に決めればいいかわからない」状態です。
この記事で紹介している6つの判断基準から3つだけ選んで優先順位をつけるだけで、選択肢は大幅に絞れます。
センスを磨く前に、判断の順番を作るほうが先です。

業種ごとの「よくある色」に合わせたほうが無難ですか?

「合わせるべき」ではなく「大きく外さないためのガードレール」として使うのが現実的です。
業種の傾向は正解ではなく、見る人が違和感を覚えにくい範囲の目安にすぎません。
その範囲の中で、自分の立ち位置や目的に合わせて選べば十分です。

編集後記

決められないのは判断基準がないから。判断基準がないのは、基準になる「要素」を知らないから。それに気づいてから、色を絞りやすくなりました。

また、正解探しをしないこと。まずは当てはめてみて、最後はインスピレーションに任せるようにしています。

Webサイトやフライヤーのデザインを請け負っている仕事柄、色についての相談は多いのですが、「選択の根拠」があるとお客様にも説明しやすく、その説明でお客様も納得感を得られるようになりました。

色に限らず、選択肢が多いときは、判断基準を定めておくと仕事も捗ります。なので、まずは「何を大事にしているのか」だけでも決めておくと、基準選びがスムーズになります。

色に関しては、定番の配色を紹介しているWebサイトや本がたくさんあるので、すでにあるテンプレ的な配色を参考にするのもおすすめです。

「判断の順番」を作る考え方は、色選びに限らずあらゆる業務に応用できます。
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