「時間と回数」だけの相談業メニューの不誠実さと構造的改善点

読了目安:約4分(2202文字)

今回は、対人相談業の不誠実メニュー表記について、構造の観点から書いてみます。

いまだにこういう表示、よく見かけます。

単発60分   ⚪︎⚪︎,⚪︎⚪︎⚪︎円
60分3回   ⚪︎⚪︎,⚪︎⚪︎⚪︎円
3ヶ月    ⚪︎⚪︎⚪︎,⚪︎⚪︎⚪︎円
半年     ⚪︎⚪︎⚪︎,⚪︎⚪︎⚪︎円

時間と回数が並んでいて、金額が添えてある形です。

ここまで聞いて、「どこが悪いの?」と思った方もいるかもしれません。

本人は普通に書いているつもりですし、業界的にもよく見る形だからです。

この表記でも、有名カウンセラーや有名コンサルタントなら、問題になりにくいでしょう。名前と実績で、集客できるでしょう。

もし、そうでないなら、買う側の立場に立った時に、少し景色が変わります。

買い手から見える「リスク」という景色

買い手の立場に立つと、「リスク」という景色が見えてきます。

たとえば、あなたがこれからお店を予約しようとしているとします。
料理は中華でも、フレンチでも、イタリアンでも何でもいいです。

お店の候補が2つあります。

1つ目のお店は、Aコース、Bコース、Cコース。
金額だけが並んでいます。
でも、何品出るのかも、どんな料理が出るのかも、どこ産の食材なのかも、デザートが付くのかも書かれていない。

もう1つのお店は、コース数も金額は同じ。
そのうえで、料理の内容、品数、食材、含まれるもの、含まれないものが見える形で書かれている。

あなたは、どちらを選びますか?

有名店なら、話は別です。「おまかせ」のワクワクも成立しますし、何が出るかわからないこと自体が価値になることもあります。
でも、無名の状態だとどうでしょう。

ワクワクよりも、リスクの方が先に立つはずです。

悩み事の相談やコンサルティングは、料理以上に“見えない商品”です。

その見えないものに対して、何が起きるかわからないまま数万円を払う。

そこに不安が出るのは、自然な反応だと思います。

「見えない商品」を可視化するオペレーション

この“見えない商品”を可視化するために必要なのが、オペレーションの明示です。

対人相談業の商品は、時間そのものではありません。その時間の中で、どんなプロセスが進むのか。何が整理され、どこまで到達するのか。

そこが商品です。

たとえばスポットであれば、最初に状況のヒアリングを行い、問題点や論点を洗い出し、質問やワークを通して整理を進め、本当のゴールを一緒に見つけ、そこに至る工程を説明する。

こうした流れが見えるだけで、「60分」の意味はまったく変わります。

コースも同じです。3ヶ月だから価値があるのではなく、その期間でどんな関わり方をするのか。バックアップなのか、伴走なのか。どこまで一緒にやるのか。

その仕様が見えて初めて、違いが伝わります。

ここで、もう一つだけ厳しめの話をします。

時間と回数しか書けないのは、表現が下手だからではないと思っています。

実践経験が薄いと、オペレーションが書けないんです。

やっていれば、ケースが溜まります。つまずく場面が見えてきます。注意書きも増えます。FAQも増えます。

つまり、自然に「こう進めます」が言葉になります。

逆に言えば、書けないなら、商品がまだ固まっていないサインです。

そこを飛ばして、ネーミングだけ整えたり、相場に合わせて値付けしたり、SNSだけ頑張ったりしても、申し込みが増えにくい。

努力量(頑張っているかどうか)の問題ではなく、努力が空回りする構造になっているからです。

なので、オペレーションを想像の範囲でもいいので、実践さながらに何度も何度も繰り返し、自分の中に落とし込むことが大事です。

集客できない前提で言わせていただければ、それをする時間は沢山あるはずです。

正しい方向に努力をすることです。

相談時のオペレーションや内容を全部出す必要はありません。企業秘密もありますし、細部まで書くと読みにくくなることもあります。

ただ、何も書いてない状態だと、買う側は不安になります。

いまは情報が多い時代で、消費者側もちゃんと見ています。特に、万単位なら尚更です。

「この人、実際の進め方が固まっていないのかもしれない」そんなふうに受け取られてしまう可能性も否定できません。

メニュー表示の解像度を上げる

ここからは、メニュー表示の解像度を上げるための順番の話です。

まず、自分は何を解決できる人なのか。
どこまでは約束できるのか。
その約束を実現するために、どんな手順が必要なのか。

そこを出せる範囲で言語化する。

その結果として金額が決まり表示ができる。

だから60分。
だから3万円。
だから10万円。

という理由が生まれます。

もし、いまの自分のメニューが時間と回数だけになっているとしたら、それは才能の問題ではなく、順番が前後しているサインかもしれません。

あなたの提供は、どこまでを約束していて、どんなプロセスでそこに到達する設計になっていますか。

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■ 「頑張ればなんとかなる」という幻想を捨てるタイミングです。

上手くいかない時、多くの人は「努力の量」を増やして解決しようとします。しかし、設計(構造)が歪んだままでは、頑張るほどに心身を削り、事態を悪化させるだけです 。 
筆者自身、積極的なPR活動をせず、紹介と「招待」だけで仕事の循環が安定する構造や、意志の力を頼らず構造的習慣化による20kg減量は、43年の実務経験から生まれた、やり方の前に「構造」を整える重要性です。

このサイトについて:

当サイト「as-I」は、2013年にドメインを取得して以来、一貫して「構造による問題解決」をテーマとしています。13年前の設計図が今の実務においてもそのまま機能しているという事実に基づき、その構造を具体化した記事を現在も積み上げ、記録し続けています。

なお、当サイトのコンテンツはすべて無料で公開していますが、情報商材の販売や、高額なセミナー・コンサルティングへの勧誘を目的としたサイトではありませんので、どうぞ安心して読み進めてください。

このサイトの設計思想や筆者の詳細については、「構造的問題解決思考 as I とは」でご覧いただけます。