カスハラを構造でディフェンスする思考法

読了目安:約3分(1577文字)

ビジネスをしていると、理不尽なお客さんと遭遇することもあります。
もちろん、そうでない人もいます。

この違いを「相手の性格」だけで片付けると、毎回運任せになります。

でも実際は、相手が誰であっても、揉めやすい状態が先にできてしまうことがあります。
その状態をつくるのが、曖昧さと不明確さです。

カスタマーハラスメントは「態度が悪い人がいる」という話だけではなく、カスタマーサービスの範囲を超えた要求が入り込んだときに起きやすいものだと思います。

そして要求が入り込みやすくなるのは、こちら側の線引きが見える形になっていないときです。

どこで境界線がぼやけるのか

まず起きやすいのが、サービスの境界が曖昧な状態です。

どこまでが基本料金に含まれていて、どこから先が追加になるのか。
どこまでが通常対応で、どこから先が例外なのか。

この境界が見えないと、相手は自分の常識で補完します。

補完がズレたまま進むと、後半で「そんなつもりじゃなかった」が起きやすくなります。

次に、決定の不明確さがあります。

誰が決めるのか、
何をもって決定とするのか、
決まったことはどこに残るのか。

ここが揺れていると、交渉の余地が生まれます。

交渉の余地があると、強く言える人が得をしやすい空気ができてしまいます。
これは人格の問題というより、「仕組みがそうさせてしまう」側面が大きいです。

そして、お願いと要求の境目が曖昧な状態もあります。

最初は相談の形で始まっても、どこから先が要求なのかが曖昧だと、引き返すポイントが消えます。
気づいたときには、話の内容よりも、圧の強さが前に出てしまうことがあります。

最後に、参照点の不明確さです。

あとから戻って確認できる置き場がないと、その場の空気がルールになりやすくなります。

SNSだけでやり取りしている場合は、とくにこれが起きやすいかもしれません。
投稿も流れていきますし、前提や条件が、読み手の記憶の中で少しずつ変わっていくことがあるからです。

ホームページが正解、という話ではありません。
ただ「ここを見れば同じ説明に戻れる」という参照点が一つあるだけで、空気で決まる割合は減りやすいです。

言葉以外の「構え」をつくる

ここまでの話は、文章でルールを書けば解決する、という意味ではありません。

お店によっては、カスタマーハラスメントのような人を寄せ付けにくい店構えや空気感を持っているところもあります。

あれも一つの「線引きの提示」だと思います。
禁止事項を並べる前に、この場が何を大事にしているかが伝わっている。
だから合わない人は入りにくく、入ったとしても交渉が始まりにくい。

言葉ではなく、導線や接客の型や雰囲気で、境界線が見えるようになっているからです。
怖さというより、迷いが少ない状態がつくられている、と言ったほうが近いかもしれません。

曖昧さと不明確さをゼロにするのは、現実的ではありません。
ガチガチにすると、今度は買いにくくなることもあります。

だからこそ、全部を増やすより、最低限の線引きだけを見える形にしておく。
それだけでも、要求が入り込みにくい状態をつくりやすくなります。

もし最近「理不尽さ」に疲れているなら、相手を分析する前に、まず自分の提供しているもののどこが曖昧になっているかを、一つだけ点検してみてもいいかもしれません。

いまの自分の商売で、いちばん曖昧になりやすいのは、どの部分でしょうか。


お友達価格で疲弊しないための構造|断れない優しさを搾取されない基準の作り方

「友達だから安くして」に応じ続けて疲弊するのは、あなたの意志が弱いからではありません。取引構造の設計ミスが原因です。優しさを守りながら対等に関わる「基準」の作…

対人・交渉:消耗を「境界線とルール」で解決する構造設計

性格や気遣いに頼らない。人間関係を「仕組み(プロトコル)」で捉え直す 【このシーンの視点】「断るのが申し訳ない」「相手のペースに振り回される」「交渉でいつも負け…

\シェアOK/
URL
COPY

■ 「頑張ればなんとかなる」という幻想を捨てるタイミングです。

上手くいかない時、多くの人は「努力の量」を増やして解決しようとします。しかし、設計(構造)が歪んだままでは、頑張るほどに心身を削り、事態を悪化させるだけです 。 
筆者自身、積極的なPR活動をせず、紹介と「招待」だけで仕事の循環が安定する構造や、意志の力を頼らず構造的習慣化による20kg減量は、43年の実務経験から生まれた、やり方の前に「構造」を整える重要性です。

このサイトについて:

当サイト「as-I」は、2013年にドメインを取得して以来、一貫して「構造による問題解決」をテーマとしています。13年前の設計図が今の実務においてもそのまま機能しているという事実に基づき、その構造を具体化した記事を現在も積み上げ、記録し続けています。

なお、当サイトのコンテンツはすべて無料で公開していますが、情報商材の販売やセミナー・コンサルティングへの勧誘を目的としたサイトではありませんので、どうぞ安心して読み進めてください。

このサイトの設計思想や筆者の詳細については、「構造的問題解決思考 as I とは」でご覧いただけます。