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【この記事の視点】セミナーやコンサルのLPで魅力的なゴールを示していても、入口のメニューだけではそこに届かない設計だと、買い手は「この価格で行ける」と誤認しやすくなります。短期的には申込みが増える一方で、後から全体像が出てきた瞬間に信頼が揺らぎやすい。本記事では、この“後出し導線”で何が起きるのかを消費者目線で整理し、売り手側が誠実さと成約を両立させるための設計の考え方を扱います。
LP(ランディングページ:成約のために内容やメリット、対象者、流れ、料金、注意点などを1ページにまとめた案内ページ)でゴールイメージを見せること自体は、とても大事だと思っています。ゴールが見えるから、人は動けるからです。
ただ、ここで小さなズレが起きることがあります。
ゴールは見えているのに、最初に用意されている入口のメニューだけでは、そのゴールに届かない。これが、受け手側にモヤっとした感覚を残しやすい構造だと思っています。
たとえば、
こちらは「こうなれます」と未来を語っている。でも実際に申し込めるのは、その未来に直結する本線ではなく、準備運動のようなメニューだけ。
準備運動が悪いわけではありません。
問題は、それが“どこまで連れて行くものなのか”が入口で見えにくいことです。受け手は自然に「この申込みで、あのゴールへ向かうんだ」と誤解して受け取ってしまいます。
消費者側で起きていること
買い手は、細かいサービス設計を読み解くために申し込むわけではありません。
LPのゴールと価格帯を見て、「自分はここへ行けそうだ」と判断します。
このとき、入口の商品がゴールへの“切符”なのか、途中までの“体験”なのかが分からないと、期待値が勝手に補完されます。
そして初回が終わったあとに、「次はこれがあります」「次はこちらです」と本線が出てくる。いわゆる後出しジャンケンです。
ここで起きるのは、提案の是非ではなく、期待値の後出し調整です。
内容が良くても、「最初から言ってくれたら心づもりができたのに」という感情が残ります。
結果として、信頼の残高が減りやすくなります。
これが、後からダメージになりやすいと思います。
売り手が“見せない”を選ぶ理由
一方で、売り手側にメリットがないかと言えば、そうでもありません。
全体像を最初から並べると、人は総額や拘束感を想像して身構えます。入口だけを軽く提示したほうが、申し込みのハードルは下がります。短期的な成約率が上がりやすいのは事実です。
また、初回の体験を経たほうが、本人が必要性を理解できるケースもあります。
最初は自分に合うか分からない。やってみてから「次へ進む理由」が体感として立ち上がる。こういう場面では、段階提示そのものは合理的でもあります。
ただ、ここには条件があります。
段階が“個別最適”で、本当に人によって必要な次が違うのか。
それとも、最初から用意された本線を見えにくくしているだけなのか。
この差で、受け手の体験は大きく変わります。
「App内課金あり」に学ぶ、誠実な設計
ここで分かりやすいのが、サブスクアプリの表示です。
アプリは無料でダウンロードできても、「App内課金あり」と書いてあるものがあります。
全部の料金表が書いてあるわけではありません。
でも、ユーザーは入口で「この先に課金導線がある」と理解できます。だから、後から課金が出てきても“裏切られた”になりにくい。
ここは誤解されやすいので、先に整理しておきますが、これをセミナーやコンサルに置き換えるなら、本文で全工程の細部まで並べる必要があるという話ではありません。必要なのは、ゴールまでの全体像と選択肢(Aコース、Bコース、Cコースなど)の詳細が別ページで確認でき、入口から自然に見に行ける動線が用意されていることです。
ただ、
「この入口はゴールまでの全工程ではなく、まずは適性確認/基礎づくりです」
「必要な場合は継続の選択肢があります」
このくらいの見通しは、入口の時点で持てるようにしておくほうが、長期の運用は安定しやすい。
逆に、読めないように小さく書いて「ここを読めば分かったはず」は、関係性を消耗させます。
勝負に勝つためのテクニックとして成立しても、信頼の土台を薄くしやすい。
この構造は、短期で数字が動くほど、後から反動が来やすいとも感じます。
なので筆者はこう考えます。
入口を軽くすることは否定しない。ただし、入口でどこまで行けるのか、次の段階が存在するのか。受け手が想定できる範囲を確保した上で、提案ができる設計にしておく。
そのほうが、売り手にとっても買い手にとっても、長く続く関係になりやすいと思っています。
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■ 「頑張ればなんとかなる」という幻想を捨てるタイミングです。
上手くいかない時、多くの人は「努力の量」を増やして解決しようとします。しかし、設計(構造)が歪んだままでは、頑張るほどに心身を削り、事態を悪化させるだけです 。
筆者自身、積極的なPR活動をせず、紹介と「招待」だけで仕事の循環が安定する構造や、意志の力を頼らず構造的習慣化による20kg減量は、43年の実務経験から生まれた、やり方の前に「構造」を整える重要性です。
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