ECサイトにおける「商品開発・商品選び」で立ち止まらないための設計図

ECサイトを立ち上げようと思いたったとき、最初にぶつかるのは「何を売るか」という点ですよね。
ここはゼロから作る商品開発だけではなく、すでにある商品を選ぶことも含めて考える場面が多いはずです。そして、この段階で思考が止まってしまうと、サイト構築や集客という次のステップに進む前に、足が止まりやすくなります。
この記事は、ECで商品を扱うときに、商品開発や商品選びをスムーズに進めるための「判断基準の置き方」を構造的に整理します。
商品開発という「工程の範囲」を再定義する
商品開発、あるいは商品選びは、その「工程」までを含めて考えると、驚くほど楽になります。
商品を考えるとき、私たちはつい「中身」にばかり意識を向けてしまいがちです。もちろん中身は重要ですが、ECの場合は「同じ品質で出し続けるための仕組み」までが商品の一部となります。
たとえば、
- 屋号やブランド名を付けた独自の梱包にするのか
- 仕入れ先でラベル貼りや外袋まで用意してもらうのか
- 自分たちで印刷し、シールを貼り、梱包して送り出すのか
この選択によって、単価も手間も、そして繁忙期に事業が回るかどうかも劇的に変わります。
梱包は、豪華にするかどうかを悩むより、「設定した価格の理由を邪魔しない形にできているか」という基準で設計すれば十分なのです。
過剰な梱包の豪華さは商品の価値を下げてしまい、価格に対して貧相な梱包では、商品を手にした時の満足度が下がってしまいます。
最初に置いておくと進みやすい「判断基準」
商品選びで迷うとき、情報が足りないのではなく、判断基準がまだ固まっていないことが原因である場合が多いものです。
基準が決まっていないと、仕入れや梱包、外注の是非といった決断が毎回ブレてしまいます。
先に以下の3つを置いておくだけで、意思決定の速度は格段に上がります。
- お役立ちの定義:その商品は、どのように世界に役立つのか。具体的にどんな不便や欠落を埋めたいのか。
- 顧客フィルター:どのような層(経済的自由度の階層)に届けるのか。特定の価値観や状況にある人を抽出するためのフィルターをどこに設定するか。
(顧客フィルターについての説明は別記事で述べているので文末にリンクを貼っておきます) - 守備範囲の画定:自分たちで担う範囲はどこまでか。どこからを外部(仕入れ先や発送代行など)に委ねるのか。
このあと、イメージがしやすいように具体的サンプルをあげて考えてみます。
構造例:「干物」を売ると仮定した考え方
ここからは例として、干物のような食品を扱うケースを当てはめてみます。干物は生鮮品より扱いやすそうに見えますが、実際には「どこまでを同じ品質として守るか」という設計が商品価値に直結します。
たとえば、干物に青のりを合わせたいと考えたとき、その青のりが乾燥品なのか、生に近いものなのかで、保管や流通の前提は180度変わります。干物を扱うつもりで始めたのに、気づけば「生ものを扱う高度な物流構造」に踏み込んでいる、という事態が起こるのです。
ここで、最初に置いた判断基準が機能します。
- まず、お役立ちの定義に照らしあわせます。
その青のりが解決したい「不便や欠落」に対して不可欠な要素なのかを問います。 - 次に、顧客フィルターを用い、ターゲットとする層の「経済的自由度」を確認します。
もし、高い対価を支払ってでも希少な体験を求める階層に届けるのであれば、リスクを負ってでも「生の青のり」を採用し、そのコストを価格に転写する論理が成立します。
しかし、利便性や手軽さを求める層が対象であれば、過剰な物流コストを強いる生の仕様は、顧客フィルターとの整合性が取れません。 - 最後に、これらを自分たちの守備範囲と照らし合わせます。
顧客が「生」を求めていても、自分たちのリソースが常温や簡易発送に特化しているならば、仕様を乾燥品に寄せるか、あるいはその工程を外部に委ねる構造を先に組まなければなりません。
このように、お役立ちの定義や顧客フィルターに照らして「その青のりは本当に必要なのか」を商品開発基準に照らし合わせ、必要であれば「現在の守備範囲で扱える形に寄せるべきか」を検討する。
この手順を踏むことで、場当たり的な商品選定を防ぐことができ、ECサイトとしての専門性や輪郭が保たれます。
守備範囲の線引きは、継続性に直結する
商品は決まっても、工程が回らなければ続きません。どこまでを自分たちの守備範囲にするかは、コストの問題である以上に、品質のブレと、繁忙期にリソースが枯渇しないかどうかに直結します。
- 仕入れ先でブランド梱包まで完結させ、自分たちはマーケティングに専念するのか。
- 自分の手で一つひとつラベルを貼ることで、小ロットかつ柔軟な展開を選ぶのか。
- ECサイトの構築や管理も内製するのか、プロに任せるのか。
ここを「気合い」で埋めようとすると、事業が成長した瞬間に苦しくなります。だからこそ、守備範囲の線引きを商品開発の要件に含めてしまうことが、運営をラクにする鍵となります。
手戻りを防ぐ「判断の順序」
手戻りが出やすいのは、役に立ち方や届けたい層が曖昧なまま、仕入れや梱包の細部を詰めてしまうときです。後から前提条件がひっくり返り、すべての作業が無に帰すことを防ぐには、以下の順番で判断を積み上げていく必要があります。
- 役に立ち方(コンセプト)
- 届けたい層(顧客フィルター)
- 守備範囲(オペレーション設計)
- 仕入れや工程の細部
この並びを意識するだけでも、無駄な後戻りは激減します。
どんなお店をネット上に開きたいですか
最後に、通販専売で行くのか、将来は卸や実店舗まで視野に入れるのか。最初から重く決める必要はありませんが、目指す形を頭の片隅に置いておくと、商品選びの条件が自ずと揃いやすくなります。
あなたは、どのような構造を持って、どんなお店をネット上に開きたいと考えているでしょうか。
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